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庭なのに土じゃないの?

「確か、庭って土があるはずなんだけど」と、単純に考えていた私はもしかして非常識?。
「こんなとこに植物なんて植えられません」。そんなお宅のために、庭用の黒土販売も致しております。庭用の黒土について詳しくはこちら、庭用黒土・培養土をご覧下さい。

植物には、水と土が必要です。

庭木流通センターでは、お持ち帰り出来ないような大きな木を買って頂いたお客様には、植木の配達と植込みをしている。そして、その植込みに関して実に大きな問題がある。それは、木を植える予定の場所に土が無いことである。

土が無いと言ってもコンクリートの上と言う訳ではなく、スコップで簡単に掘れるような土質ではなく、また、植物が育つはずがない土質であるということだ。

例えば、カチカチやベタベタの粘土質だったり、ガツンガツンの砕石(基礎工事の下地に敷く砂利)が敷いてあったり、漬物石がぎっしり詰まっていたり、コンクリート殻や鉄筋屑が埋まっていたり、確かに黒土ではあるがカッチカッチに踏みしめてあったり、などなどだ。

この、まともな土では無いお庭が実に6割を超す。

更に、ここ数年で宅地造成された住宅地は9割を超す。
まあ、それでも何とか穴を掘るのはよいとしても、果たして植木は育つのか?、と言う問題がある。

中でも一番植木にとって悪い条件は、粘土質や異常に堅く締まった土などだ。それは水が捌けないために根腐れになってしまうことや、土の粒度が細かすぎて根が張れない状態になってしまう。

石ころや砕石混じりの土でも、土自体が砂質土や団粒構造で有れば、水も捌けるし根も張っていけるので、保肥力などの問題は有るものの植木は育つ。コンクリート殻などの産廃が多量に埋まっているのは、育つ育たないの問題以前の話であり、園芸の楽しみを完全に失うレベルである。

産廃が埋められている現場に何度か遭遇しているが、私たちが穴を掘っていて、いろんな物が出てくるとお客様は唖然としている。

家を建てて、数年間お金を貯めて「さあ今年は庭いじりを楽しむぞ」と言うときに、庭から産廃がゴロゴロ出てくるんです。

これは宅地造成中に入れた物なのか、住宅の建築中に入れた物なのか、毎日どこかの穴掘りをしている私達には、見当が付く。
なので施主に変わって代弁する。宅造業者さん、建設残土を埋め立てて宅地造成する昨今の事情も判りますが、コンクリート殻や鉄屑などの産廃が表土にあるのは違法です。また、住宅建築中に産廃を埋めるなどは論外なので、もし今後見かけたら写真と名指しで実態を書きますので、そこんところ宜しく。

住宅基礎の掘削中など、重機で掘るのも一苦労するような土地質であれば、「庭になる部分の土、どうしますか?、後での入替は割高になりますよ、別途見積しましょうか?」と、施主にアドバイスするくらいの余裕を見せて欲しいもんです。

モデルハウスを見に行くと、お洒落な外溝に植木や草花がたくさん植てあり、建物と一体となってモデルハウスがグーンとよく見える。と言うことは、建物に植栽は付きものだと言うことを業界人は判っているらしい。

家の建築図面には「ここが住宅の位置で、ここがカーポート、そしてこれが物置の予定場所」なんて書いてある。更にその図面には頼んでもいないのに植木のマークなんかが書いてある。とうぜん図面にある植木のマークは建築には関係のない、ただの飾りだと言うことは判ってはいるが、施主はそれを見て何となく竣工後のイメージを抱くのである。

また、一軒家を購入して「少しで良いから菜園を作ろうかな」とか「草花を植えるスペースも作ろうかな」とか「植木を植えて花や実を楽しみ、紅葉も楽しめるかな」とか、色々と期待している訳である。

今まで土いじりを経験していない施主は、土の事なんか全く眼中にない。

庭の部分は当然の様に植栽可能な土が有るものだ考えている。そしてなんとなく漠然とモデルハウスの様な玄関の横に大きな植木のある住宅を想像している。

それが、いざ庭の土をスコップで掘ってみると、とんでもなく堅くて掘れないとか、石だらけでツルハシでも刃が立たないとか、粘土がひどくて水も捌けないとか、しまいにはコンクリート殻や廃材まで埋めてある始末。こうなると「庭で園芸を」何て言うレベルでは無くなっているのが現実である。

自分で掘る気も起こらないような土地質は、業者だって人力では掘れないのである。そうなると重機に頼るしかないのだが、その重機が穴を掘る場所まで搬入できないのが常である。

要するに家の基礎工事段階や塀工事の最中など、土の入替が容易な機会が何度も有ったはずである。そして、その機会を逃すと土の入替費用は数倍に跳ね上がる事になる。いや、それどころか費用うんぬんより工事が不可能となる。

そんな訳で、せめて園芸を楽しみにしている施主に対しては、図面や予算の段階で庭となるスペースの土質について説明をすべきである。

土質と言ってもPH(ペーハー)や成分がどうだとかではなく、施主が簡単に掘れるような土かどうかの説明で十分である。そして、住宅が建ち上がった後や外溝工事が終わった後では土の入替が困難であることも合わせて説明すべきである。

家と一緒に園芸の楽しみも売って、施主さんに喜んでもらいましょうよ。ね、ハウスメーカーさん。

こんな例がある、地域一帯が堅い粘土層がむき出しの宅造地のこと。

施主が「家が完成したら裏庭に植木を植えて楽しみたいので、庭のスペースの粘土をなんとかしたい」。営業マン「家が建ってからでも土の入替は出来るので大丈夫」。施主「だけど、家が建つと土を出し入れする通路が狭いようだけど大丈夫なの?」。営業マン「植木を植える造園屋に相談すれば、うまいことやってくれるから大丈夫」。

そして家が建ち始め「やはり裏庭に行く通路が狭くてほんとに大丈夫だろうか?」と、不安を持ちながら植木の相談に来たお客様でした。私はそのお客様の住所を聞いて、直ぐに思い出しました。その場所は宅地造成工事中に見ていた場所で「酷い粘土地帯だなー、こんな場所じゃ植木は育たないなー」と思った場所だったからです。

お客様から事情を聞いて現地を見に行きましたが、やはりその場所であり、レンガを作れるような粘土もそのままでした。

お客様から相談された土の入替工事ですが「とても人力で出来る状態ではなく、ましてや重機も入れない状況なので、当社では入替工事は出来ないので、出来ると言った営業マンに相談した方が良いのでは?」と。後日、営業マンが、そのハウスメーカーの協力業者に相談したところ「重機も入らない現場なので無理です」と、断られたとの事でした。

さてその後、責任を感じた営業マンは人力作戦でこの難局を突破しようと、仲間とスコップを連れていざ現場へ。結果は三分の一も出来ずに堅い粘土に惨敗。「申し訳ない勘弁して下さい」と平謝りだったそうです。

もう一例、そこは何処を掘っても火山灰地帯の新興住宅街で、もともと火山灰採取地だった場所でした。

住宅街一帯が火山灰色に見える程、どこのお庭もベージュ色、その中で盛土したであろう黒土がちらほら。

そんな団地の現場に到着。お庭は30坪位あったでしょうか、庭全体が綺麗に黒土状態で、「久しぶりに黒土の庭だなー」と感じたのも数分間でした。

スコップで一掘り「ん、黒土が1センチ、いやまさか、あれやっぱり1センチ」。つま先で、あちこち探って見るとどこも1~2センチ、これには別の意味で関心しました。よほど綺麗に火山灰を均してからでないと、1センチの黒土を平らに敷き均せないからです。単なる表面の化粧黒土でした。

お客様は「うちは大丈夫、バッチリ黒土が入っているから」と、おっしゃっていた記憶があるんですが。

少し話をずらして火山灰と植木の関係についてです。

植木にとって火山灰は、決して悪い訳ではありません。水捌けも良く適度な団粒構造となっているため発根(移植後、新しい根を出す)が非常に促進されるのです。但し、保肥力(植物に必要な要素養分を土の中で保つ力)にやや問題がある事と、移植後数年は水やりの管理に注意を必要とすることです。

保肥力不足に関しては、腐葉土を隙込んだり完熟堆肥を根の廻りに混ぜることで管理は出来る。あとは植物の欲する水分を管理できれば、へたな黒土より植木は良く育つ。ちなみに札幌では、手稲・北・東区の一部や石狩近辺で砂質土の地域があるが、これも火山灰同様の管理で、植木はグングン育つ。

火山灰は、まあ見た目がベージュ色の庭となるので若干の違和感はあるが、本州のマサ土の庭と思えば、それなりに見えてくる。

良い例もある、どこを掘っても粘土質と石ころが出てくる地域でのこと。

施主が竣工後に家に見合った木を植えたいと建築屋さんに相談したところ、木の大きさや樹種などを自ら調べ、根の大きさや植える場所などを施主にアドバイスし「根はこのくらだから土はこのぐらい、入れ替えるタイミングはいついつで費用はこの程度」と、非常に親身になって相談にのってくれたそうです。後からでは入替費用が数倍になる条件のお宅でした。費用が浮いた分、大きな木を購入して頂きました。

話を戻して、近年では宅地造成後の土が、そのまま庭の土として使用できるのは皆無である。そして、その事は業界人ならおおよそ判っているはず。なのに何故、知らんぷりをしているのか?。

園芸を楽しみにしていた施主がガッカリしている様子を私は常に見ている。苗木や花を買ってきて「さあ、ここに植えよう。え、堅くて掘れない・・なにこれ!」なんて光景を。

住宅設計・住宅建築・ハウスメーカー・・など業界人に言いたい。

「家の廻り全てをアスファルトで敷き詰めてくれ」と言う施主以外、間取りや外壁のデザインと同様に外空間の使い方も、施主に竣工後の希望を聞いて相談にのってあげて欲しい。せめて庭の床(基本)となる土くらいは、予算額の提示をするなど。「そんなに難しい話ではないでしょう?」と言うことを。

初めて家を購入する施主の多くは、後から大変な出費になることに気づいていないのですから。

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